九段下を経て

 帰路、御茶ノ水から靖国通りに出て、市ヶ谷まで1時間あまりを歩く。
 
 途中、俎橋の手前で出会う「九段下ビル」は、関東大震災復興期の1927年に建てられたという、廃墟系の佇まいがえもいわれぬ猥雑感を醸し出している雑居ビルだ。
 
 威容豊かな大村益次郎像の視線の彼方に西郷隆盛を想像しつつ、春の夕べの散策を終える。