「人工光合成」実現に向けて

世界をリードする化学反応を ノーベル賞根岸さんら構想 (www.asahi.com 2011年1月15日18時27分)
 
 ノーベル化学賞を受賞した米パデュー大特別教授の根岸英一さんらを中心に「人工光合成」など、新しい化学反応を開発する研究計画構想が動き出した。日本の100人以上の研究者が参加を表明しており、18日にも根岸さんらが国や関係機関に支援を求める。
 
 構想によると、異なる有機物を結びつけて新しい素材をつくる「クロスカップリング反応」を超える効率的な反応、エネルギーや地球温暖化問題の解決に貢献できる反応の開発を目指す。根岸さんの専門の遷移金属を触媒に使った有機化学を軸に、新たな知見を取り込んで次世代型の化学反応の開発を計画している。
 
 目標の一つの人工光合成は、二酸化炭素を使って植物以上の効率でさまざまな有機物の合成を目指す。世界で開発競争が始まっているが、決定的な成果は出ていない。
 
 関係者によると、根岸さんが特別招聘教授を務める北海道大触媒化学研究センターをとりまとめ役に、東京大、東京工業大、京都大、岡山大、神戸大、理化学研究所などの研究者が参加を表明している。
 
 根岸さんは「クロスカップリングは広く使われるようにはなったが限界もある。世界をリードできるような優れた反応を育てたい」と話している。