COP16閉幕

ポスト京都へ新体制 米・新興国も対策 COP16採択 (www.asahi.com 2010年12月11日21時31分)
 
 2013年以降の地球温暖化対策を議論する国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)は11日未明(日本時間同日夜)、対策の骨格を示した決議を採択し、閉幕した。京都議定書温室効果ガスの削減義務を負っていない米国や、中国やインドなどの新興国にも、一定の削減を初めて求める。ポスト京都議定書の新しい国際体制が動き出す。
 12年に「期限切れ」となる京都議定書の延長については、来年末に南アフリカ共和国で開くCOP17で結論を出す。
 
 対策は、昨年末のCOP15で主要国首脳がまとめた「コペンハーゲン合意」に基づく。COP15では合意づくりに参加できる国が限られ、手続きが不透明だったとして、一部途上国が強く反対。採択に至らず、宙に浮いていた。今回決議が採択されたことで、新しい国際枠組みや対策が始動する。
 
 ただ、新議定書など法的拘束力がある形にするかは明示されておらず、対策を義務づけるかどうかの議論はCOP17に持ち越された。また、京都議定書を延長するかについては「削減策に空白を生まない形で結論を出す」と明記。議定書の改正手続きや各国の批准手続きに必要な時間を考えると、来年末のCOP17が事実上の最終期限になる。
 
 コペンハーゲン合意を採択できなかった反省に立ち、議長国メキシコは「秘密文書も秘密会議もない」(エスピノサ外相)とすべての国が参加できる形で合意文書づくりを進め、最終日の10日夕に決議案を提示。こうした姿勢を各国が評価し、採択にこぎつけた。
 
 決議によると、先進国は削減目標を掲げ、率先して削減に取り組む。途上国には、経済発展で排出量が増える余地を認めながらも、抑制に向けた計画をつくるよう促す。2年に1回、国際的に検証するが、抑制策が妥当かどうかは評価せず、罰則は設けない。
 削減策をめぐっては対立が続いていたが、中国やインドなどの新興国が検証制度の設置を受け入れ、採択に至った。ただ詳細な制度設計や法的な位置づけについては先送りされたため、先進国との対立は今後も続きそうだ。
 
 また、洪水や干ばつなど被害を受けやすい途上国への支援を強化するため、新たな機構を創設。こうした対策に必要な資金支援を充実させるため、新たな基金も設ける。