ブラックホールの「超接近」

ブラックホール、あと500年で衝突か 「超接近」発見 (www.asahi.com 2010年12月1日12時4分)
 
 約500年でぶつかるほど近くにある二つの超巨大ブラックホール(BH)を、国立天文台や岐阜大、名古屋大の観測チームが見つけた。重さは太陽の8億倍と12億倍。お互いの距離は0.02光年で、どんどん接近している。宇宙の歴史から考えると、500年は衝突直前に等しい。BHが衝突、合体して大きくなっていくという仮説の有力な証拠になりそうだ。1日付の米専門誌に掲載された。
 
 観測チームは、長野・野辺山の電波望遠鏡などを使ってアンドロメダ座の方角にある超巨大楕円銀河「3C66B」を3年かけて観測。中心にあるBHから噴き出るジェットの様子を捉えた。
 
 0.02光年は二つのBH自身の半径の50倍にあたる。BHを地球サイズにすると、地球と月の関係に近い。あまりに近いため、空間がゆがんで波として伝わる「重力波」を放出し、エネルギーを失って徐々に近づいているとみられる。
 
 本当に衝突するかは、地球が太陽に落ち込まないことから疑問視する意見もあったが、国立天文台の井口聖准教授は「今後、衝突しそうなBHがもっと見つかるだろう。BHや銀河がどう衝突し、成長するのかといった天文学の謎を解き明かすきっかけになる」と話した。