憂国忌 ――三島由紀夫 没後40年


 

平野啓一郎×中条省平 学習院三島由紀夫を語る (2010年11月25日付 読売新聞広告企画)
 
きょう 没後40年
観念と現実 調和目指す

 
 『鏡子の家』は評価されず、三島はショックを受けた。それでも、彼は、戦後社会を生き抜こうとします。多くのマスメディアに露出し、自分の虚無(ニヒリズム)を埋めようとします。一方で高度経済成長の進む日本社会は、この作家にとって皮相的で好きになれなかった。
 そのとき、彼が抱えていた観念と現実、個人と社会の対立といった問題が克服されるのではなく、むしろ先鋭化されていく。現実の社会に否定的な姿勢を取り、日本の長い文化伝統の象徴である天皇の力を使って、社会を揺さぶる発想が出てきたんだと思います。 (平野啓一郎、抜粋)