軍政への徹底的な否

アウン・サン・スー・チーさん解放 7年半ぶり (www.asahi.com 2010年11月13日20時45分)
 
 ミャンマービルマ)軍事政権は13日、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん(65)の自宅軟禁を解除した。スー・チーさんの解放は3度目の拘束が始まった2003年5月以来、約7年半ぶり。今も国民に高い人気があるスー・チーさんは、民主化運動を再開するとみられる。
 軟禁は解除したものの、スー・チーさんが総選挙の無効や民主化勢力の結集などを呼びかけ、その影響力が強まれば、軍政が4度目の拘束に踏み切る恐れもある。
 
 この日午後5時半(日本時間同8時)過ぎ、自宅前の道路を封鎖していたバリケードが軍政当局によって撤去された。解放を待っていた多数の支持者らが歓声をあげて一斉に敷地内に入った。スー・チーさんはその後、建物から出てきて群衆に笑顔で手を振った。ロイター通信によると、スー・チーさんは「私たちは目標に向かって力を合わせていかなければならない」と語った。また、14日に自身が率いる国民民主連盟(NLD)本部で演説する考えを支持者に伝えた。
 
 スー・チーさんは自宅軟禁中だった昨年5月に米国人を自宅に滞在させたことが国家防御法違反に問われ、禁固3年の有罪判決を受けた。その後軍政はこれを1年6カ月の自宅軟禁に減刑し、その期限が13日とされていた。
 
 スー・チーさんの弁護士によると、スー・チーさんは解放後はいかなる行動の制限も受け入れない意向を表明。NLDは7日投票の総選挙をボイコットして政党としては解党処分を受けたが、選挙での軍政側の不正疑惑に関する証拠収集を進めるなど、スー・チーさんを先頭に選挙の無効を訴える運動などを繰り広げる意向と見られている。
 軍政は、前回総選挙(1990年)の前年にスー・チーさんを自宅軟禁下に置いたが、選挙ではNLDが圧勝。軍政は政権移譲を拒否し、スー・チーさんを国民から遠ざけるため、以後21年間で計15年間、スー・チーさんの行動の自由を奪ってきた。
 
 軍政が今回スー・チーさんを解放したのは、裁判で決まった軟禁期限が切れたことに加え、20年ぶりの総選挙を軍政に有利なかたちで乗り切ったことが背景にあるとみられる。ただ、スー・チーさんに自由な活動を認めれば、反軍政運動が広がる可能性が高く、軍政は神経をとがらせている。