高潔な兵士

33人全員が生還 チリ落盤事故の救出作業完了 (www.asahi.com 2010年10月14日12時38分)
 
 チリ北部サンホセ鉱山で8月5日に起きた落盤事故で地下に閉じこめられた作業員33人が13日午後9時55分(日本時間14日午前9時55分)、全員救出された。12日深夜の作業開始から約22時間半。その後、地下に残っていた救助要員6人も順次地上に引き上げられ、14日午前0時半すぎ、過去に例をみない救出作戦は完了した。
 
 最後に救出されたのは、33人のリーダー格だったルイス・ウルスアさん(54)。マニャリク保健相によると、「他の作業員より先に地上に戻ることを固く拒んだ」という。
 
 ウルスアさんを出迎えたピニェラ大統領は、地上の救助要員らと一緒にチリ国歌を歌って全員の生還を祝った。その後の演説で「彼らは私たちに高潔さの見本を示してくれた」とほめたたえ、大統領宮殿に33人を招く考えも示した。
 
 救出された作業員はすぐに健康状態のチェックを受け、家族と面会した後に順次コピアポ市内の病院に搬送されている。作業員の健康状態は全般的に良好だが、虫歯をわずらった人が複数いた。また肺炎の症状がある作業員もおり、しばらく入院させるという。健康状態がよい人は14日午後にも退院して帰宅できる見込みだ。
 
 救出作業は、関係者が「想像以上」と驚くほど順調に進んだ。救出用カプセルは車輪が一時不具合を起こしたほかは問題なく稼働。当初24〜48時間と想定されていた救出時間は大幅に短縮された。
 
 最後まで地下に残っていた救助隊のマヌエル・ゴンサレスさんが午前0時半に地上に戻ると、現場は再び大きな拍手と歓声に包まれた。