プラハの濃密な…

チェコの空気ムンムン「暗がりのあかり」 銀座で写真展 (www.asahi.com 2010年7月28日16時1分)
 
 グローバル化が進んでも、美術作品にはその国の空気を感じさせるものがある。東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催中の「暗がりのあかり――チェコ写真の現在展」は、チェコの空気に満ちた展覧会だ。同国の写真表現の全体像を紹介しようと、20〜60代の幅広い年代から10人を選び、49点を展示。分野別に壁に並べた。
 
 ドキュメンタリー写真では、インドジヒ・シュトライトが近代化で失われつつあるチェコの田舎暮らしを、アントニーン・クラトフビールが戦争や民族対立に揺れる中東欧を撮る。
 ヌード写真の分野で、トノ・スタノはポーズを取ったモデルの裸を写す。「センス」(1992年)では女性の身体が官能的な一本の曲線に。ミハル・マツクーは、写真上で自分の裸体を引き裂く。モノクロームの作品の中には、耽美(たんび)的だったり、不穏や疎外を感じさせたりするものが多い。
 テレザ・ブルチェコバーのカラー写真も不気味だ。作品には双子の少女が並んで写るが、中にはデジタルで合成した偽の双子もいるという。
 
 チェコの人口は日本の10分の1以下。だが、担当した資生堂の井関悠学芸員は「写真家の層は厚い。伝統と歴史を尊重した上で自分のスタイルを追求している」と話す。
 首都プラハは、スラブ文化圏の芸術の中心地の一つ。重々しくて濃密なチェコの空気を感じることができる写真展だ。
 
 ▽8月8日まで。東京都中央区銀座8の8の3、月曜休み。