熱海死す

劇作家のつかこうへいさん死去 62歳 (www.asahi.com 2010年7月12日10時58分)
 
 劇作家のつかこうへいさんが死去したことがわかった。62歳だった。今年1月に肺がんを公表し、闘病生活を送っていた。
 
 在日韓国人2世として福岡県に生まれた。慶大文学部中退。在学中から学生劇団で活躍し、戯曲「戦争で死ねなかったお父さんのために」(1971年)などを発表。劇団「暫」に加わり、「初級革命講座飛龍伝」(73年)などを上演した。73年に文学座で初演された「熱海殺人事件」で岸田戯曲賞を最年少(当時)で受賞。74年に劇団「つかこうへい事務所」を設立し、「ストリッパー物語」(75年)、「蒲田行進曲」(80年)などを演出し、「つかブーム」をまきおこした。
 
 唐十郎鈴木忠志など小劇場演劇の創始者世代に続く第2世代の代表格で、三浦洋一平田満風間杜夫加藤健一ら実力派の俳優を育てた。82年に小説「蒲田行進曲」で直木賞を受け、以後小説に専念したが、89年に演劇活動を再開。最近は「飛龍伝」「幕末純情伝」などのシリーズ作に取り組んでいた。
 映画化された「蒲田行進曲」(82年)で日本アカデミー賞脚本賞を受賞。07年には紫綬褒章を受章した。
 
 昨年9月にがんとわかり、抗がん剤治療を受けていた。入院先の病院にけいこのビデオを持ち込んで演技を指示するなど、最後まで舞台に意欲を燃やしていた。