難航と迷走

首相、辺野古案容認の米紙報道を否定 「自然への冒涜」 (www.asahi.com 2010年4月24日19時4分)
 
 沖縄県の米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設問題で、鳩山由紀夫首相は24日、同県名護市の辺野古沿岸部を埋め立てて滑走路を建設する現行案について「私は辺野古の海に立って、海が埋め立てられることの自然への冒涜を大変強く感じた。現行案が受け入れられる話は、あってはならない」と述べた。ブラジル人向け施設などの視察先の群馬県大泉町で、記者団の質問に答えた。
 
 外務省や防衛省内には、前政権と米国が合意した現行案について、滑走路の位置をずらすなどの微修正であれば米側の理解が得られ、打開策になり得るとの見方がある。だが、首相の発言は、埋め立てを伴う案はいっさい認められないという立場を明確にしており、普天間移設先の選択肢はさらに狭まった。
 
 普天間問題については24日付の米紙ワシントン・ポスト(電子版)が、現行案を大筋で受け入れる考えを岡田克也外相がルース米駐日大使に伝えていた、と報じた。これについて首相は「外相が大使と会ったのは事実だが、内容は必ずしも事実ではない」と否定。岡田外相も24日、訪問先の長崎県佐世保市で「そういう事実はない」と語った。
 北沢俊美防衛相も同日、長野市内で「現行案に戻ることはあり得ない」と言明。修正の可能性については「どこまでが修正かということがある」と述べた。民主党輿石東参院議員会長は甲府市で記者団に、現行案に戻る可能性について「それはないだろう。首相も沖縄県民の皆さんの考え、悲痛な叫びをきちんと受け止めている」と述べ、否定的な考えを示した。
 
 鳩山政権は、普天間のヘリコプター部隊の大半を鹿児島県徳之島に移し、残りをキャンプ・シュワブ(名護市など)陸上部にヘリポートを造って移設するなどの案を検討している。しかし徳之島の住民らが強く反発している上、ヘリ部隊と地上部隊が離れることに米側が難色を示しており、協議は難航している。