「夢中」と「依存」の境界

ギャンブル、ゲーム…なぜ「はまる」 「依存学」創設へ (www.asahi.com 2010年2月16日23時22分)
 
 熱中したり、やめられなくなったり、何かに「はまる」現象を多角的に研究する「依存学」を創設しようと、京都大学の西村周三副学長らが、NPO法人「依存学推進協議会」の認可申請をした。医学だけではなく、経済学、社会学など分野をこえた研究者が集まり、「はまる」ことの本質をとらえ、マイナス面だけでなくプラスに生かす道も探りたいという。
 
 好奇心がきっかけで何かに夢中になることは成長の過程で欠かせない。飲酒やゲームなども適度に楽しめば趣味や気分転換になる。しかし、はまりすぎると、体をこわしても飲酒を続けたり、借金をかさねながらギャンブルにのめり込むなど問題行動になる。
 これまでは薬物などの依存症の医学的研究はあったが、ギャンブル、ゲームや携帯電話などにはまる現象については、実態すら不明だった。「依存学」では、夢中になることと依存の差はどこにあるのかなどについて脳の働きから解明し、診断や治療法の開発をめざすほか、依存症の社会や経済に及ぼす影響の解明、依存症になった人の救済システムの構築、教育や啓発などの研究・実践に取り組む。サポート団体との連携もしていきたいという。
 
 西村副学長は「熱中するものがあることは、活力ある豊かな社会につながる。依存の本質を明らかにして、マイナス面の研究だけでなく、『はまる』ことのプラスの側面も広く研究していきたい」と話している。