83年ぶりに蘇った『メトロポリス』

SFの傑作「メトロポリス」、ベルリン映画祭で復活 (www.asahi.com 2010年2月13日10時39分)
 
 東西ドイツ分断の象徴だったベルリン・ブランデンブルク門が12日夜(日本時間13日未明)、巨大な野外映画館に生まれ変わった。開催中のベルリン国際映画祭が60回を記念して、1927年製作のSF映画の金字塔「メトロポリス」の最新復元版を特設の巨大スクリーンで無料上映した。83年ぶりにほぼオリジナルに近い形でよみがえった名作を見るため、零下2度の寒空の下、2000人を超す観衆が集まった。
 
 「メトロポリス」は、ドイツのフリッツ・ラング監督の長編無声映画。支配者が労働者を酷使して築いた近未来都市を描く。林立する摩天楼や反乱を扇動する女性ロボットなど鮮烈なイメージは手塚治虫ジョージ・ルーカスら多くのクリエーターにも影響を与えた。
 だが、初公開時は人気が伸び悩み、製作者は4189メートルのオリジナルを3241メートルに短縮した再編集版を作成。海外でも様々な短縮版が出回り、再編集でカットされたシーンは散逸した。
 
 60年代以降、部分的な復元作業が繰り返されてきた。08年にはアルゼンチンの映画アーカイブが、オリジナルとほぼ同じ長さの16ミリプリントを発見。独のムルナウ財団が中心となり、従来より約30分長い147分のデジタル復元版が完成した。
 
 この日のプレミア上映は、市内の劇場が本会場。ベルリン放送交響楽団によるゴッドフリート・フッペルツ作曲のオリジナル音楽の生演奏とともに上映され、その模様をブランデンブルク門の大スクリーンにも同時中継した。