ささやきながらその骨を

 新宿Book 1stにて大江健三郎『水死』(講談社)を購入。中高時代、『個人的な体験』『万延元年のフットボール』から『同時代ゲーム』までの長編作品を貪るように読みながら、これまで80年代以降の作品を読む機会はほとんどなかった。しかし、自ら「後期の仕事(レイト・ワークス)」と名づけながら、1935年生まれの大江は70代半ばにさしかかったばかりで、大江版ヨクナパトーファの構築に向けて、今日なお旺盛な創作欲は沸騰しているように見える。それにしても、「水死」などというタイトルが許されてしまうのも、大江ならではか?
 

水死 (100周年書き下ろし)

水死 (100周年書き下ろし)