「民族浄化」は食い止められるか

スーダン問題への積極関与を表明 米オバマ政権 (www.asahi.com 2009年10月19日23時26分)
 
 オバマ米大統領は19日、「世界最悪の人道危機」とも言われるダルフール紛争解決などのため、仲介に積極的に乗り出す方針を発表した。従来通りの経済制裁は続ける一方で、和平に消極的なスーダン政府に対話による説得も試み、同政府の対応次第では経済制裁の解除にも応じる姿勢を表明。「アメとムチ」を使って事態の打開を図る考えだ。
 
 オバマ大統領は声明で、地域全体の不安定化を防ぐために、米国と国際社会の緊急行動が必要だと強調。取り組むべき問題として(1)西部ダルフール地方での紛争とジェノサイド(集団殺害)、人権侵害の解決(2)スーダン南部内戦の包括和平合意(05年)の合意事項の実施(3)スーダンが国際テロリストの隠れ場所となることの防止、を挙げた。
 
 交渉による解決では、この問題を担当するグレーション特使が「シャトル外交」を展開する予定だ。オバマ大統領は「この大きな問題に簡単な答えはないが、今こそ我々が一致して行動すべき時だ」と訴えた。
 

 冷戦終焉後に世界各地で浮上した100件を超える紛争のうち、およそ9割近くは外国の介入を伴わない国内紛争(内線)であるという。ユーゴスラビア紛争では、セルビアミロシェビッチ大統領が「人道に対する罪」で裁かれた(収監中に死亡)が、20世紀末の悪夢のようなジェノサイド、「民族浄化」は今日に至るも依然、私たちの「見えない地図」の中で浸蝕を続けている。