テロメアの「長さ」

ノーベル医学生理学賞に米国人3氏 細胞の老化を研究 (www.asahi.com 2009年10月5日20時50分)
 
 スウェーデンのカロリンスカ医科大は5日、今年のノーベル医学生理学賞を、米カリフォルニア大サンフランシスコ校のエリザベス・ブラックバーン教授(60)、米ジョンズ・ホプキンス大のキャロル・グライダー教授(48)、米ハーバード大のジャック・ショスタク教授(56)の米国籍の3人に贈ると発表した。染色体の末端部にある「テロメア」が、細胞のがん化や老化にかかわる仕組みを解明した。
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 テロメアは、細胞の遺伝情報が詰まっている染色体の末端部にあり、染色体を安定させ保護する役割をもつ。細胞が分裂するたびに染色体が短くなることが、以前から予想されていた。細胞の老化と関連すると見られていたが、詳しい仕組みは分かっていなかった。
 
 ブラックバーン教授とショスタク教授は82年、原始的な単細胞生物のテトラヒメナを使った実験で、染色体の端にある特殊なDNA配列テロメアの役割を解明。さらにグライダー教授とともに、短くなったテロメアを伸ばす酵素テロメラーゼを見つけた。つまり、細胞の老化を防ぐ働きをする酵素だ。
 
 老化が早く進む病気の人やクローン羊ドリーもテロメアが短い。染色体を守り細胞の寿命を延ばすといった働きがあり、老化との関係が明らかになりつつある。また、がん細胞では酵素テロメラーゼが活発に働き、無限に増殖させていることが分かってきた。この働きを止めれば、がんの増殖を抑えられるとして、新たな抗がん剤開発につながると期待されている。
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 2009年のノーベル賞各賞の発表が始まり、ノーベル物理学賞光ファイバーで長距離通信ができることを示した元香港中文大学長のチャールズ・カオ博士(75)、光を電気信号に変えて画像化する電荷結合素子(CCD)をベル研究所で開発した米国人のウィラード・ボイル博士(85)とジョージ・スミス博士(79)が受賞した。
 
 先日ラスカー賞を受賞した山中伸弥京都大学再生医科学研究所教授(47)の今年の生理学・医学賞受賞はならなかった。