岡本裕一朗 『12歳からの現代思想』

 ロラン・バルトの「作者の死」や、ヴァルター・ベンヤミン『複製技術時代の芸術』などがいきなり引用される「小学校6年生向けの」現代思想書(ただし、その真意は「あとがき」で明かされるが)。
 本書で扱われる主な思想は…
 
第1章 コピーからオリジナルが生まれる?
  ベンヤミンの「アウラ」  シミュレーションとハイパーリアル(ボードリヤール
第2章 n個の性、n個の人格?
  ドゥルーズガタリ『アンチ・オイディプス』  ジュディス・バトラージェンダー・トラブル』
  テーセウスの船  「アイデンティティ」とは、「想像力」によってつくり出された「虚構」
第3章 監視される生き方?
  ベンサムフーコーパノプティコン  ジジェク全体主義』  ホルクハイマー、アドルノ啓蒙の弁証法
第4章 自然は文化?
  人間中心主義はキリスト教とともに始まる(リン・ホワイト)  マルクスエンゲルスドイツ・イデオロギー
第5章 人間をつくり変える?
  オルダス・ハックスリーすばらしい新世界』  トランス・ヒューマニズム(人間越境主義)
  ラメズ・ナム『超人類へ!』  モレノ『操作される脳』
  フィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?』  チューリング・テスト
第6章 あなたの心が見たい!
  ダニエル・デネット『解明される意識』  ガザニガ『脳の中の倫理』
第7章 コミュニケーションはいかにして可能か?
  ハーバーマス フーコー『知への意志』  ベイトソン『精神の生態学
第8章 私たちってホントに自由で平等?
  J・S・ミル「他者危害則」  パターナリズム  アマルティア・セン  ライシュ『暴走する資本主義』
  アンソニー・ギデンズ『暴走する世界』  ジャック・ランシエール『民主主義への憎悪』
  ネグリ、ハート『マルチチュード』  デリダ「来たるべき民主主義」
エピローグ ――私たちはどこへ行くのか?
  デリダマルクスの亡霊たち』  ニーチェ『権力への意志』  ハイデガー「世界像の時代」  リオタール『ポスト・モダンの条件』
  カントの三大批判  フーコー「人間は波打ちぎわの砂の表情のように消滅するであろう」(『言葉と物』)