尊敬の対象

首相「金ないのに結婚するな」 学生イベントで (2009/08/23 23:17 共同通信
 
 麻生太郎首相は23日夜、都内で行われた学生主催のイベントで、若年層の結婚について「金がないのに結婚はしない方がいい。稼ぎが全然なくて(結婚相手として)尊敬の対象になるかというと、なかなか難しい感じがする」と述べた。
 
 「結婚資金が確保できない若者が多く、結婚の遅れが少子化につながっているのではないか」との学生の指摘に対する回答。一定の生活力が必要との趣旨とみられるが、不況の影響で就職先がなかったりワーキングプア状態にある若者たちに対する配慮を欠いた発言との批判も呼びそうだ。
 
 首相は「自分は金がないわけではなかったが、結婚は遅かった。あるからする、ないからしないというものでもない。人それぞれだと思うから、うかつには言えないところだと思う」とも述べた。
 

 バブル前に学生結婚した時、ぼく自身は就職先どころか卒業の見込みもまだ立ってはいなかったが、「何とかなるだろう」という楽観的な感覚はあった。恐らく、今の時勢ではこうした選択は無謀だろう。確かに、金がないなら結婚はしない方がいい(かもしれない)。
 
 それにしても、この短い記事で首相が何を語ろうとしていたのかは分からないが、総選挙を控えたこの時期の発言としてはまるでセンスが感じられない。少子化対策に関するデザインを披瀝するわけでもなく、あたかも「貧困は(人間的)尊敬に値しない」の意とも取れかねないmammonism的感覚…。
 少なくとも、つい20数年前までは、金がなくても結婚はできた。今日では、それが許されないだけのすさまじい「暗さ」が横溢している。これは政治的な問題ではなかったのか。