「閉じている本」と「開いている本」

 
 今月も文庫、新書でバラエティーに富んだ書物が刊行された。
 『デモクラシーと〜』は、丸山眞男と並び戦後日本の政治学界を牽引してきた福田歓一の“デモクラシーと国民国家”に関するエセーのアンソロジー。先月よりリニューアルした岩波現代文庫のラインナップを飾る一冊で、同シリーズでは1890年から1930年という「いちばん面白い時代」のロシア芸術を論じた亀山郁夫の『終末と革命の〜』も併せて購入。
 
 ちくま学芸文庫からはジョン・ケージトリスタン・ツァラか何かの1冊かと見紛うような驚きのレイアウト。
 
 仲正昌樹ハンナ・アーレント論。なぜ「今こそ読み直す」のか。いつもの毒舌さえなければ、最も期待の一冊。
 松原隆一郎のガイドブック(異なる著者による歴史学政治学社会学、宗教学に続くシリーズ5作目)も、昨今の経済学ブームを考えれば話題を呼びそうな内容だ。
 
 ほかに、集英社新書から1冊、光文社新書から2冊。『難解な本を〜』には、著者・高田明が教えている女子学生の講義ノートのショットなども参考に掲載していて、ちょっと変わっている。 
 

ジョン・ケージ著作選 (ちくま学芸文庫)

ジョン・ケージ著作選 (ちくま学芸文庫)