「脳死」とは何か――臓器移植法改正をめぐって

脳死とは」再び 臓器移植法改正案 (2009年4月25日付 朝日新聞
 
 脳死と判定された人からの臓器提供を可能とする法律が、97年の施行から12年を経て、改正議論のまっただ中にある。複数提出されている改正案を再編し、新たな案を提出する議員の動きも活発だ。そもそも脳死とは何か。臓器移植法はなぜ今の形になったのか。
 
 死ぬといえば多くの人が思い浮かべるのは、肌がくすんで、体が冷たくなった姿だろう。一般的に「人の死」は、(1)呼吸が止まる(2)心臓が止まる(3)瞳孔が開いて反応がない――の三つが根拠になってきた。「息をひきとる」は(1)で「脈がない」は(2)。臓器移植法ができるまでは、この「死の3兆候」を医師が確認してしぼうしんだんしょをかくしか、「死」はなかった。
 だが、全脳の機能を失った状態である脳死はまったく違う。体は温かく、眠っているように見える。神経反射で体を動かすことさえある。