ポール・クルーグマン 『クルーグマン教授の経済入門』

クルーグマン教授「米、日本の失われた10年より悪い」 (www.asahi.com 2009年4月15日7時47分)
 
 ノーベル経済学賞を昨年受賞した米プリンストン大学ポール・クルーグマン教授は13日、ニューヨーク市内で外国人記者との会見を開き、米経済の現状について「日本の『失われた10年』よりも悪い」と厳しい認識を示した。
 
 クルーグマン教授は、最近の米株式市場で景気底打ちへの期待が高まっていることについて「経済指標に予想より良いものが出てきたが、これは急激な悪化のペースが遅くなったことを示しているだけで、回復の兆しとはいえない」と指摘した。
 さらに、いまの米国と90年代の日本との比較では「失業率の急上昇に悩む米国をみると、日本の『失われた10年』の方がまだましで、我々は日本よりも悪い」と言及。かつて欧米では日本の対応が遅いと批判されたが、「同じような状況に直面すると我々も同じことをしている」とし、「我々は日本に謝らなければならない」とも述べた。
 経営難に陥っている米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の救済の是非については「オバマ政権は完全な破綻(はたん)は避けようとしているが、それは簡単な道ではない」と指摘。ただ、政府支援のもとで破産法を申請させる「事前調整型」と呼ばれる処理について「アフターケアなどを考えて消費者がGMの車を買わなくなるのではないかと心配している。自動車会社は航空会社とは違う」とも指摘し、破綻には慎重な姿勢もにじませた。

 
 97年6月にアメリカのMIT Pressから上梓された Paul Krugman, The Age of Diminished Expectation 第3版の全訳。山形浩生は「こういうのを読む人」以外の人に「こういうの」を読ませるための文体で全編を翻訳している。だが、山形によると、一般に世に出回っているクルーグマンのほかの翻訳よりは「ずっと原文の雰囲気に近い」という。
 
第1部  経済のよしあしの根っこんとこ
 
第2部  相も変わらぬ頭痛のタネ
 
第3部  政策問題
 
第4部  砂上の楼閣ファイナンス
 
第5部  アメリカの未来
 
番外編  日本がはまった罠