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 5日午前11時半ごろ、北朝鮮は長距離弾道ミサイルテポドン2」の改良型と見られる機体を発射。テレビではNHK総合および民放各局が臨時ニュース番組に差し替え、一斉に報道した。朝鮮中央通信が4日朝、朝鮮宇宙空間技術委員会の通知として「衛星は間もなく(soon)発射される」と報じてから1日後の発射となった。
 
 “スター・ウォーズ”は日本にも飛び火するか? 日本政府の宇宙開発戦略専門調査会(座長・寺島実郎日本総合研究所会長)は今年5月にも、安全保障分野における宇宙開発利用、衛星情報・技術をODAなどを通じてアジアやアフリカ、中南米などに戦略的に提供していく「宇宙外交」推進などを盛り込んだ「宇宙基本計画」を策定する。

発射ミサイル、日本上空越える 官房長官「厳重に抗議」 (www.asahi.com 2009年4月5日12時43分)
 
 北朝鮮が5日午前11時半ごろ、長距離弾道ミサイルテポドン2」の改良型とみられる機体を発射した。東北地方上空を通過、ブースター(推進装置)の1段目は秋田県西の日本海に落下した。日本政府が発表した。北朝鮮は「衛星打ち上げ」としている。政府は国連安保理決議違反だとして、米国、韓国などと連携し、06年の制裁決議の厳格な履行を求める新決議の採択を目指す。政府はミサイルが日本の領域に落下する恐れがなかったため、迎撃は見送った。
 
 日本政府は午前11時32分、米国の早期警戒衛星による情報などをもとに、「北朝鮮から飛翔(ひしょう)体が発射された模様だ」と発表した。発射は東方向に向けて1発。1段目のブースターは午前11時37分ごろ、秋田県西約280キロの日本海に落下したと推定される。1段目を切り離した後の機体は、同11時48分ごろ、日本の東約2100キロの太平洋上まで追尾したが、その後、着水したか飛行を続けたかについては確認できていない。
 
 警察庁は秋田、岩手両県を中心に落下物がないか情報収集にあたっているが、正午時点では被害の情報はない。麻生首相首相官邸で記者団に対し(1)日本の領域の安全確認と航空機及び船舶の安全確認(2)情報収集態勢の強化(3)国民への迅速な情報提供――を指示したことを明らかにした。
 
 河村官房長官は正午から首相官邸で記者会見を開き、今回の発射が過去の国連安全保障理事会決議に違反しており「極めて遺憾であり、厳重に抗議する」と述べた。「現時点で被害情報はない」とも述べた。政府は、国連安保理に緊急会合の開催を要請した。政府は首相官邸の連絡室を対策室に格上げ。外務省にも外相を長とする緊急対策本部が設置された。
 
 北朝鮮は4〜8日の午前11時〜午後4時に試験通信衛星を運ぶロケットを打ち上げると、国際海事機関(IMO)などに事前通告。4日朝、「準備完了。間もなく発射される」と発表したが、同日の発射は見送っていた。防衛省は4日、2度誤って発射情報を流したことから、5日は情報伝達にミスがないよう、万全の態勢に努めた。
 
 政府は3月27日、打ち上げ失敗による日本の領土・領海への落下に備え、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」を初めて発令。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦2隻を日本海に、地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を秋田、岩手両県と首都圏の計5カ所に配備して警戒していたが、迎撃は見送った。
 
 北朝鮮は98年、長距離弾道ミサイルテポドン1」(射程1500キロ以上)を発射、一部が日本上空を越え三陸沖の太平洋に落下した。06年には「テポドン2」を発射したが、打ち上げ直後に分解し、北朝鮮沿岸などに落下した。
 

首相、ミサイル発射は「明確な安保理決議違反」 (www.asahi.com 2009年4月5日16時10分)
 
 麻生首相は5日午後3時20分すぎ、北朝鮮のミサイル発射について「極めて挑発的な行為で、日本として断じて看過できない。国際社会と協力して、安保理決議違反であることははっきりしている(ので)、そういうところも含めて対応していきたい」と述べた。首相官邸で記者団に語った。
 
 首相は、一連の政府の対応については「国民へ迅速に状況を知らせることを含めて、かなり対応はうまくいったと思います。国民が冷静に対応していただいたことに感謝しています」と語った。
 

北朝鮮人工衛星打ち上げは失敗」と米軍発表 (www.asahi.com 2009年4月5日19時28分)
 
 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は5日、北朝鮮が発射したミサイルについて「第1段階は日本海に落下し、残りの部分は先端部も含めて太平洋に落ちた」と発表し、人工衛星打ち上げは失敗だったと明らかにした。何も衛星軌道に入らなかったという。
 
 NORADの広報担当者は朝日新聞に対し、2段目と3段目の切り離しに失敗したのかどうかなど、詳細は明らかに出来ないとした。発表によると、日本への破片の落下もなかった。また、ミサイルは「北米やハワイに対する脅威ではない」と判断し、ミサイル防衛による迎撃などの対応措置は取らなかったとした。
 
 北朝鮮朝鮮中央通信は衛星を軌道に乗せることに成功した、としていた。NORADは米国とカナダが共同で運用している組織で、24時間体制で衛星の状況や、ミサイルや航空機などによる北米への攻撃がないかどうかを監視している。