偉大なる下山

「世界最高所の空気を味わった」 三浦雄一郎さん下山 (www.asahi.com 2013年05月26日19時31分)
 
 80歳で世界最高峰エベレスト(8848メートル)に登頂した冒険家の三浦雄一郎さんが26日、第2キャンプ(6500メートル)からヘリコプターでカトマンズ(1320メートル)に到着し、無事下山を果たした。同峰の最高齢記録を4歳更新した23日の登頂を「山頂で1時間近く酸素マスクを外して世界最高所の空気を味わった」と笑顔で振り返った。
 
 三浦さんは真っ黒に日焼けしていた。血色は良く、過酷な登頂を終えたばかりと思えないほど。下山途中で脱水症状に襲われたというが、体形は登頂前に会った時と変わらないように見え、足取りもしっかりしていた。報道陣の質問に元気いっぱいの口調で答えた。
 
 とはいえ、下山には苦しんだという。「(3度目の)今回はフラフラになりながらの下山だった。命がけで帰ってきた。通常は10時間で済む第2キャンプまで30時間もかかった。何回もピンチがあり、一歩一歩慎重に下った」。実際には疲労困憊しているといい、「90歳(での登頂)は考えられない」と話した。
 
 第2キャンプまでに疲労が重なった上、25日に第1キャンプとベースキャンプの間にあるアイスフォール(氷瀑)帯でルートの一部が崩壊し危険なため、ヘリ移動を決断したという。
 
 80歳の高齢登頂については、「僕たちの年代は介護や医療保険の問題がある。80歳でも目標を持てば、幸せにつながることを証明できたのではないかと思う」と話した。