デジタル時代の著作権

本・音楽・映像…全著作物をID管理 各界26団体構想 (www.asahi.com 2013年05月24日05時51分)
 
 音楽や映像、書籍など国内で流通する、全てのコンテンツ(作品)に共通のルールで番号(ID)を振って管理しようという構想を、俳優・音楽・出版・放送の各界などの26団体でつくる「デジタル時代の著作権協議会」がまとめた。24日に公表する。
 
 構想は、作品のほか、作品に権利を持つ作家や作曲家、歌手ら著作権者と、作品を楽しむ一般の人にもIDを振る。この共通IDにより、作品を媒介に利用者と権利者とが自動的に関係づけられ、使用料支払いなどの著作権処理が簡素化できる、というもの。
 
 たとえば、一般の人が、インターネット上に流通する音楽や動画を切り張りして作成した映像作品を動画サイトで発表しようとすると、現状では、作曲家らの権利を管理している日本音楽著作権協会JASRAC)のほか、歌手や俳優の団体などにそれぞれ申請して許可をとる必要がある。
 
 構想が実現すれば、楽曲や動画のファイルに埋め込まれた作品IDなどをもとに、必要な使用料などが自動計算され、利用者はワンクリックでそれを支払えばよくなり、権利者への使用料支払いも自動化できる。
 
 構想は、JASRACのような管理団体が集まって全分野の権利情報を一元的に管理する「オールコンテンツ権利集中処理機構」の設立も掲げている。
 
 この共通IDのしくみは電通が開発。このほど国際電気通信連合(ITU)と国際電気標準会議(IEC)に国際標準としても認められた。安倍晋三首相は「クールジャパン戦略」として放送コンテンツの輸出を促すため複雑な権利処理を一元管理する窓口機関の整備を掲げており、この構想の活用が期待される。
 
 共通IDは、国内では写真家の団体などで実用中。レコード会社や放送局などコンテンツ企業に広く採用してもらえるかが課題になりそうだ。