民主主義の根幹を問う

一票の格差」16訴訟で判決 違憲14件、合憲ゼロ (www.asahi.com 2013年03月27日21時20分)
 
 「一票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選について、弁護士グループが無効(やり直し)を求めた16件の訴訟は27日、仙台高裁秋田支部(久我泰博裁判長)で「選挙は違憲だが有効」との判決が言い渡され、すべての高裁判決が出そろった。16件中14件が「違憲」と判断し、このうち2件は「選挙無効」にまで踏み込んだ。
 
 残る2件は、憲法が要求する平等に反する状態にあるが、是正に必要な合理的期間は超えていないとする「違憲状態」の判決。「合憲」はゼロだった。
 
 格差が最大2・30倍だった前回2009年の衆院選をめぐる訴訟では、9件の高裁判決のうち4件が「違憲」(無効はなし)で、3件は「違憲状態」。違憲状態にも至らない「合憲」も2件あった。
 
 各高裁の判断を統一する最高裁判決は、早ければ今秋にも言い渡される。11年3月の最高裁判決は、09年選挙を「違憲状態」とし、地方に手厚く議席を配分する「1人別枠方式」の廃止を求めたが、選挙は前回と同じ区割りで行われた。今回、多くの高裁はこれを厳しく見て違憲と断じた。
 
 この流れを踏まえ、最高裁違憲判断を示す可能性が高まっている。仮に「無効」にまで踏み込めば、国政選挙では最高裁として初めてとなるが、可能性は低いとみられる。「違憲だが有効」という判断なら、1985年以来となる。
 
 今回の一連の訴訟は、昨年12月16日の選挙の翌日に一斉に起こされた。従来、あまり意識されていなかった「判決は提訴から100日以内」とする公職選挙法の努力規定を各高裁が守ったため、異例の「迅速判決」となった。