冥土をめぐって

芥川賞の鹿島田さん「力込めた作品」 直木賞は辻村さん(www.asahi.com 2012年7月17日21時26分)
 
 第147回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭で開かれ、芥川賞鹿島田真希さん(35)の「冥土めぐり」(文芸春号)、直木賞には辻村深月さん(32)の「鍵のない夢を見る」(文芸春秋)が選ばれた。副賞は各100万円。授賞式は8月中旬に東京都内で開かれる。
 
 鹿島田さんは東京都生まれ。白百合女子大学在学中の1998年、「二匹」で文芸賞受賞。2005年「六〇〇〇度の愛」で三島由紀夫賞、07年「ピカルディーの三度」で野間文芸新人賞を受けた。芥川賞は06年の「ナンバーワン・コンストラクション」以降、4度目の候補だった。
 
 受賞作は、突然脳の病気にかかり、働けなくなった夫と8年ぶりの旅に出る女性が主人公。旅の途中に母と弟から抑圧された過去が表出するが、夫の純粋さによって自分を取り戻す女性の心情を綿密に描く。