欧州危機は克服されるのか?

財政緊縮策に「待った」 仏・ギリシャ有権者の判断 (www.asahi.com 2012年5月7日13時16分)
 
 6日のフランス大統領選とギリシャ総選挙は、欧州各国で財政の緊縮策に拒否反応が強いことを象徴している。かといってドイツを中心に進めてきた緊縮策を放棄できるわけではない。財政の立て直しと緊縮を両立させよとの難題を市民がつきつけた。
 
 二つの選挙結果に金融市場は敏感に反応した。7日朝の東京外国為替市場では、ユーロがドルや円に対して売られる先週来の欧米の流れが続き、株価も下げた。欧州の政府債務(借金)危機の克服に、不透明さが増したとみなされた。
 
 「成長」を目指すとしても実現するとは限らない。むしろ財政の健全化が遅れ、債務危機が深まる恐れさえあるとの不安がつきまとう。金融大手JPモルガン(ロンドン)のパバン・ワドワ氏は「欧州が緊縮から成長志向へと転換すれば多くの投資家が、神経質になるだろう」と話す。
 
 
「変革、今始まる」 仏大統領選、オランド氏が勝利宣言 (www.asahi.com 2012年5月7日7時40分)
 
 フランス大統領選は6日決選投票があり、即日開票の結果、社会党フランソワ・オランド氏(57)が、民衆運動連合(UMP)が推す現職ニコラ・サルコジ氏(57)を破り、初当選した。社会党の大統領は、ミッテラン氏が退いて以来となる17年ぶり。
 
 オランド氏は6日夜、仏中部の地元チュルで「希望を取り戻したことを誇りに思う。変革は今、始まる」と勝利を宣言した。「欧州の新たな出発となる」とも述べ、債務(借金)危機の克服を急ぐ姿勢を強調した。パリでは、バスチーユ広場を数万人が埋め、「オランド、大統領」と歓声を上げた。
 
 オランド氏はまず、欧州の先導役であるドイツのメルケル首相との会談に臨む方針だ。欧州連合(EU)の加盟25カ国でまとめた新たな財政協定の再交渉に応じるよう説得を試み、緊縮財政よりも経済成長に重きを置く政策への転換を促す。雇用への不安や、緊縮策への不満を高める国民の期待にこたえつつ、サルコジ氏と同様に、独仏が主導して欧州統合を進めていくことを確認するとみられる。