統合強化か、縮小か?

独の「欧州の統合強化」案、逆に「分裂」不安の声 (www.asahi.com 2011年11月23日22時18分)
 
 欧州の財政危機が進む中、ドイツのメルケル首相が「欧州の政治統合を深めるための条約改正」を提唱し、波紋を広げている。ユーロ圏外の国の発言権がしぼんだり、圏内でもドイツなどの「優等生」だけに政策決定権が集中したりするのでは、との懸念からだ。
 
 メルケル首相は、最近の与党の大会で「新しい欧州に向けて飛躍する時だ」と述べ、欧州連合(EU)加盟国の政治統合を進めるためのEU関連条約の改正を訴えた。具体的な内容は明らかにされていないが、財政規律を守らない加盟国を欧州司法裁判所に提訴するなどの厳しい制裁措置を検討している模様だ。
 
 この考えに真っ向から異を唱えるのが、EU27カ国のうち10カ国を占める非ユーロ圏で最大の英国。世界的な金融センター「シティー」を抱えるだけに、株式や債券などの取引にかける金融取引税の導入など、自国に影響する政策が、ユーロ圏主導で進むことを警戒。逆に「EUから権限を取り返そう」と統合の縮小を訴えている。