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リビア反体制派、首都掌握か カダフィ政権崩壊不可避に (www.asahi.com 2011年8月22日10時55分)
 
 リビアの首都トリポリに進攻した同国反体制派部隊は21日夜(日本時間22日未明)、首都の大部分を掌握した模様だ。反体制派によると、最高指導者カダフィ大佐の後継者と目されていた次男セイフルイスラム氏が拘束された。カダフィ大佐は徹底抗戦を呼びかけているが、政権の崩壊は避けがたい情勢だ。
 
 2月に反政権デモが始まって半年。リビア情勢は大詰めを迎えた。
 中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどによると、反体制派の代表組織「国民評議会」(TNC)のアブドルジャリル議長は21日夜、「セイフルイスラム氏の身柄を確保した。公正な裁きにかける」と述べた。大佐の長男ムハンマド氏も拘束された。また、カダフィ大佐の警護部隊が投降したという情報もある。
 
 現地からの情報では、東部からトリポリに進攻した反体制派は市内の刑務所に収容されていた政治犯らを釈放しながら、カダフィ大佐の居住区兼軍事基地で、強固な地下シェルターを装備しているとされるバーブ・アジジヤ地区に迫った。トリポリ西方約50キロのザウィヤを出発した反体制派部隊も市中心部の「緑の広場」に到達。多くの市民が歓声で出迎え、政権軍側の抵抗はほとんどなかったという。アブドルジャリル議長は「カダフィ一族が投降するならば、進攻を止める」と語っている。
 
 カダフィ大佐は21日夕、国営テレビで電話中継とみられる音声での演説を行い、「血の最後の一滴まであきらめない。我々は絶対に降伏しない。我々は勝利する」と述べ、徹底抗戦を呼びかけた。21日深夜にも再び音声のみの演説で「トリポリを救え」と叫び、各部族に決起を求めた。
 
 カダフィ大佐の居どころは明らかになっていないが、反体制派司令官の一人は「トリポリ市内にいる」との見方を示した。バーブ・アジジヤ地区には地下通路があるとの情報もあり、カダフィ大佐が移動している可能性も否定できない。同地区周辺には今も政権軍が展開しているとみられ、戦闘が続く事態もあり得る。ただ、カダフィ大佐が再び情勢を掌握する可能性はほとんどないと見られる。
 
 カダフィ大佐の幼なじみで元側近ながら政権を離反したジャルード元首相は滞在先のローマで同日、「周囲を包囲され、カダフィトリポリを出ることはできない。亡命するには遅すぎる。彼が生き延びることはできない。政権は長くても10日しか持たない」との見方を示した。