最悪の事態は回避できるのか

爆発音・火災…「不明」「確認中」繰り返す東電担当者 (www.asahi.com 2011年3月15日17時45分)
 
 「2号機の圧力容器付近で大きな音を確認しました」
 15日午前8時すぎ、福島県災害対策本部前で東京電力福島事務所の担当者が話し始めると、取り囲んでいた記者たちがざわめいた。
 
 同事務所は前日から、2号機のトラブルについて断続的に説明。15日午前4時すぎに会見をいったんやめ、大きな変化やトラブルがあればすぐに再開する、としていた。
 2号機での爆発音という新たな事態を受けて、「原因は」「外の放射線量は」と質問が飛んだが、東電側は「不明です」「確認します」と繰り返すばかりだった。
 
 午前8時30分ごろ、東京・内幸町の東京電力本社でも会見が始まったが、やはり「具体的な情報を持っているわけではない」といった歯切れの悪い言葉が続いた。
 爆発音を受けて、同社は社員や作業員を2号機の内部から退避させ始めた、と発表。爆発音の理由については、黒田光原子力設備管理部課長が「圧力抑制室内の圧力が低下している。ここに何らかの異常があったと判断した」と語った。
 一方、「圧力が残っているので、圧力容器の健全性は維持されている」とも説明。「では、なぜ退避させたんですか?」という質問があがると、「それは現場の判断ですので」との回答にとどまった。
 
 東電によると、爆発音があった後も50人超の作業員が短時間で交代を続けながら、炉内の水位を戻すための作業をしているとも説明。結局、何人の作業員が、何のタイミングで退避したのかについては確認できなかった。
 東電側はさらに、午前11時すぎには4号機の火災について会見。ここでも、燃料破損の状況や火災と爆発音の関係について「確認がとれていない」と繰り返し、情報の確認に追われた。会見が始まって50分ほどで、会見者に1枚紙が渡された。「火は消えているという情報が来ています」。発表する社員にも、ほっとした表情はなく、むしろ、いぶかしげに見えた。間もなく、別の社員が会見場の後ろから「米軍が消火に入っているというのは確認がとれてます」と声を張り上げた。
 
 経済産業省原子力安全・保安院が2号機のトラブルを受けて開いた会見でも、「圧力抑制室への損傷によってどんなことが起こりえるのか」「住民の避難はどうするのか」など危険性についての質問が続いた。会見した西山英彦・大臣官房審議官らは「前提として、損傷しているおそれがあるということ」「危険性は認識している。それにもとづいた対応もするし、モニタリングの値で外からチェックできる」などと、明確な回答を避け続けた。