中東政変

反体制派への攻撃強まる カダフィ大佐「粛清」演説で (www.asahi.com 2011年2月24日0時42分)
 
 リビアで続く反体制デモに対し、最高指導者カダフィ大佐が22日の演説で「家々を一軒ずつ回って(デモ隊を)粛清しろ」と呼びかけたことで、反体制派への攻撃が激しさを増している模様だ。15日に始まったデモの犠牲者数は1千人に上るとの指摘もあり、各国政府は自国民の退避を本格化させている。
 
 中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、首都トリポリ中心部では23日も銃撃戦があり、治安部隊が市民に銃弾を浴びせているとの目撃情報もあるという。
 15日からのデモの犠牲者について、リビア政府は300人と発表したが、東部の拠点都市ベンガジの保健当局者はロイター通信に23日、同市だけで320人が犠牲になったと語った。イタリアのフラティニ外相も、全体の犠牲者数が1千人に達するとの見方を示した。
 
 地元紙によると、デモ隊側が支配するベンガジ空爆するよう命じられた空軍のパイロットが、命令を拒んでロシア製戦闘機を墜落させた。パイロットは脱出したという。
 各国政府はリビアに滞在する自国民の退避を加速、23日にはフランスとロシアが航空機で、トルコが船で、計約3500人を脱出させた。米国はフェリーを使って23日に約600人を出国させる計画。トリポリ空港は、出国の飛行機を待つ人でごった返しているという。
 
 閣僚や外国に駐在するリビア大使らが相次いで辞職を表明するなか、ロイター通信などによると、カダフィ氏の有力な後継候補とされる次男セイフルイスラム氏の側近が23日、辞任した。
 日量180万バレルを誇る主力産業の石油採掘も、油田を運営する欧州企業が23日までに相次いで生産を縮小したり、止めたりしており、現在は通常にくらべて日量約40万バレルが減っている。トリポリなど主要な港でも、安全が保証されないとして物流が止まっているという。