快楽と芸風

朝吹さん・西村さん芥川賞 直木賞は木内さん・道尾さん (www.asahi.com 2011年1月17日19時43分)
 
 第144回芥川賞直木賞日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞朝吹真理子さん(26)の「きことわ」(新潮9月号)と西村賢太さん(43)の「苦役列車」(新潮12月号)、直木賞木内昇さん(43)の「漂砂のうたう」(集英社)と道尾秀介さん(35)の「月と蟹」(文芸春秋)が選ばれた。副賞は各100万円。授賞式は2月中旬に東京都内で開かれる。
 

西村賢太さん「自分のことしか書けない」 芥川賞受賞会見 (www.asahi.com 2011年1月18日)
 
――受賞作「苦役列車」の何割くらいが実際の体験ですか。
 起こった出来事は9割以上本当ですが、それを実際書くとなると、2:8で8割がフィクションです。書き方の問題ですね。
 
――私小説にこだわる思いは。
 もともと私小説にしか興味がない。小説を読んだの私小説だったもんですから、自然にそれ以外に興味を持たないんです。僕の場合は、藤澤清造田中英光に救われてきたから、自分で書くとなったらその形式というか、その方法しかとれないんです。
 
――藤澤清造さんの全集を手がけていらっしゃいますが。
 全集も続けます。ちょっとまあ、きたない話ですが賞金が入る感じなので、これで出せるなって(笑い)。
 
――藤澤清造さんのどこに救われましたか。
 今回の「苦役列車」にも書いたんですけど、あんまり僕はいい家庭環境で育ってこなかった。それで小説を読み始めて。最初は田中英光を読んでたんですけど、やっぱりエリートなので物足りないんですよ。それで藤澤清造を読み始めて、なんて言ったらいいのか、悪い言葉で言えば、僕よりもだめな人。自分よりだめなやつがまだいるんだなと、それで救われたというのが本当のところです。(抜粋)