空白を生む決裂

首相と小沢氏、会談物別れ 代表選、党内二分の対決へ(www.asahi.com 2010年8月31日21時57分)
 
 民主党代表選(9月1日告示、14日投開票)は31日、再選を目指す菅直人首相に小沢一郎前幹事長が挑む構図が固まった。党分裂を懸念する声に配慮して、鳩山由紀夫前首相が仲介し、首相と小沢氏は同日に会談。だが、挙党態勢のあり方をめぐって両氏の溝は深く、それぞれ正式に立候補を表明した。現職首相と党内最大勢力を率いる実力者が対決する選挙戦は党内を二分する激しい戦いになりそうだ。
 
 小沢氏はこの日、国会内で鳩山前首相、輿石東参院議員会長と約1時間半会談。その後、党本部で首相と約30分間会談した。
 終了後、菅首相は記者団に「選挙の結果いかんにかかわらず、協力しあってやっていくとの基本において一致できた」と指摘。その後の会見で「代表選に改めて立候補することとした」と表明した。
 
 首相は会見で、挙党態勢をめぐる小沢氏との協議で「私が挙党態勢に反対したとか、それを受け入れなかったというのは一切ない」と強調。「色々な方から人事についての意見もいただいたが、国民にまったく見えないところで議論し、決めるのはおかしいと思っていた」と語った。
 
 「政治とカネ」をめぐる問題について、首相は「政治の生い立ちという意味では小沢さんと私はかなり違ったところからスタートした」と指摘。さらに「政治とカネの問題で日本の政治が混乱したり、左右されたりすることがないような政治を是非つくっていきたい」と述べ、小沢氏の政治姿勢を暗に批判した。
 
 一方、小沢氏は会談終了後、党本部で記者団に「大勢の仲間の皆さんにご推挙いただき、代表選に出馬する決意をした」と改めて表明。首相と会談については「昨晩(30日夜)は話し合いを持つことに積極的とのことだったが、一晩明けてから『話し合いは密室批判を受けかねないのでやめたい』という趣旨の話があった」と説明した。
 
 小沢氏はこの日、記者団からの質問を受けず、「明日、記者会見がまたあるということなので、その時に自分の主張やら政策やら申し上げる」と語った。
 両氏の会談決裂を受けて、鳩山氏は同日、記者団に「昨夜は挙党態勢ということで菅総理にご理解いただいたので、その方向で収束できるものと期待したが、そのような状況にならなかったのは残念な思いだ」と語った。代表選の対応については「選挙になれば私は前から申し上げている通り」と述べ、小沢氏支持を改めて表明した。
 
 党内では、首相再選を菅グループ(約50人)のほか、前原誠司国土交通相グループ(約40人)、野田佳彦財務相グループ(約30人)が支持。これに党内最大の小沢グループ(約150人)が挑み、両陣営が鳩山グループ(約60人)、旧社民党グループ(約30人)、旧民社党グループ(約30人)、羽田孜元首相グループ(約20人)の支持を奪い合う構図だ。代表選は1日午前10時から立候補届け出の受け付けが始まる。午前11時に締め切られ、午後4時から東京都内のホテルで候補者の共同記者会見が開かれる。