100年ぶりのハックルベリー・フィン

マーク・トウェイン自伝、一世紀の封印解かれ今秋刊行 (www.asaho.com 2010年5月26日18時0分)
 
 「トム・ソーヤーの冒険」などで知られる米国を代表する作家、マーク・トウェイン(1835〜1910)が生前に残していた自伝が今年11月から刊行されることになった。出版元の米カリフォルニア大出版会が発表した。「少なくとも死後100年は世に出さぬよう」という本人の遺志を守り、5千ページにわたる手稿が同大バークリー校で大事に保管されてきた。
 
 出版会によると、トウェインは死の4年前にあたる1906年から、自分の生涯を記録する作業を始めた。死後100年間の公開を拒んだ理由に定説はなく、英インディペンデント紙(電子版)によると、研究者の間には「宗教や政治についての考えを自由に語るため」「公開が100年後なら、友人の悪口を書いても気がとがめないから」などの説があるという。
 
 もっとも、手稿が一度も日の目を見なかったわけではなく、自伝を部分的に引用したトウェイン伝もいくつか出版されている。だが「これまで世に出たのは全体の半分以下。しかも本人が望んだような形ではない」と出版会は言う。インディペンデント紙によると、トウェインは妻の死後に親密になり、後に破局した女性との「晩年の恋」についても400ページの補遺を残しており、世界中のあらゆる世代に親しまれる作家の別の一面が自伝を通じてうかがえるかもしれない。
 
 自伝は3部構成で、11月に出版される上巻の価格は34.95ドル(約3200円)。