揺るぎなく続く非常事態

モスクワ地下鉄駅爆発、死者38人 当局「自爆テロ (www.asahi.com 2010年3月29日21時24分)
 
 モスクワ中心部の地下鉄駅2カ所で29日朝、相次いで爆発が起き、ロシア非常事態省などによると、38人が死亡、70人以上が負傷した。検察当局はテロ事件として捜査を開始した。モスクワの地下鉄でテロが起きたのは41人の犠牲者が出た2004年2月以来6年ぶり。ボルトニコフ連邦保安局(FSB)長官は、メドベージェフ大統領に「北カフカス地域につながりのある女性の自爆テロ」と報告した。
 
 爆発は週明けのラッシュアワーを直撃し、交通が遮断されるなど大混乱した。在モスクワ日本大使館によると、同日昼過ぎ現在で、日本人が事件に巻き込まれたという連絡はないという。
 
 非常事態省などによると、最初の爆発は午前8時前、赤の広場や官庁街に近いルビャンカ駅で起きた。停車中の車両の前から2両目の車内で爆発し、少なくとも付近にいた24人が死亡、約20人が負傷した。その約30分後、同駅から4駅離れた同じ路線のパルク・クリトゥールイ駅でも、同様に前から3両目の車両で爆発。少なくとも12人が死亡、約15人が負傷した。
 
 ロシア検察は、TNT換算でルビャンカでは4キロ、パルク・クリトゥールイでは1.5キロから2キロのプラスチック爆弾が使用された可能性があると発表した。駅に設置されたビデオカメラに、不審な女性2人の姿が映っていたという。さらに、この2人に付きそう女性も2人いたとの情報もあり、捜査している。
 
 ルビャンカ駅の前には、FSB本部の建物がある。FSBはソ連国家保安委員会(KGB)が前身で武装独立勢力によるテロが続くロシア南部北カフカス地域で掃討作戦を続けており、今月、イングーシ共和国で武装勢力の指導者らを殺害したと発表していた。
 
 メドベージェフ大統領は29日、「テロリストに対する作戦は最後まで揺るぎなく続く」と話し、治安機関に徹底的な捜査を指示した。
 
 爆発時、現場付近は両駅とも多数の通勤客で混雑していた。爆発でモスクワ市中心部は通行止めになり、地下鉄も数時間にわたって停止した。携帯電話網も一時的に不通となった。地下鉄はモスクワ市民の重要な足で、各駅の周辺は職場に向かう人たちがバスなど別の交通手段を求めてあふれかえった。