権力世襲へ 風雲急

「金総書記、後継に三男指名」 北朝鮮が中国に伝達 (www.asahi.com 2009年6月3日3時0分)
 
 北朝鮮金正日総書記(67)が三男正雲氏(25)を後継者に指名した、と朝鮮労働党幹部が中国共産党幹部に伝達していたことがわかった。正雲氏が今年初め、党や軍の人事権を握る党組織指導部長に就任したとの情報も伝えられた。労働党幹部と関係が深い北京の中朝関係筋と、両国を往来する金総書記に近い北朝鮮筋が明らかにした。
 
 労働党幹部が今年初め、北京を非公式に訪問した際、共産党幹部と面会して口頭で伝えたという。ただ、北朝鮮がこの先も独裁体制を維持するのか、集団指導のような体制に移るのかはっきりしないうえ、最高指導者である金総書記のどんな権限がどういう形で継承されるのかは不透明で、総書記の健康異変や指導部の足並みの乱れがあれば、構図が変わる可能性がある。
 
 正雲氏は84年生まれで、母親は金総書記の3番目の夫人の故高英姫氏。細かい経歴は不明だが、90年代にスイス・ベルンのインターナショナルスクールで学んだ後、金日成軍事総合大学に在学したとされる。
 北朝鮮筋の話では、後継問題には金総書記の義弟、張成沢氏が深く関与したという。張氏が4月の最高人民会議で国防委員に選出されたのは、若い正雲氏の補佐役になるための布石との見方を示した。
 
 金総書記には正雲氏のほかに、第2夫人の故成恵琳氏との間の長男正男氏(38)と、高氏との間に生まれた次男正哲氏(27)がいる。北朝鮮筋によると、正男氏はかつて張氏から後継者になる意思があるか問われ、「政治には関心がない」と自ら辞退。現在、党や軍の役職には就いていない。正哲氏も後継者になることに消極的だったとされる。
 
 中朝関係筋によると、党組織指導部は昨年12月、一部の党と軍の上層部に、後継を世襲とすることを強く示唆する内部通達を出したという。通達には、後継者として正雲氏を示すような文言はなく、同筋は「世襲を3代続けることについて側近幹部の了承を得る狙いがあった」と説明。「幹部らの反対意見がなかったことから正雲氏を組織指導部長に登用した」とされる。
(後略)