四半世紀ぶりの祝砲

スリランカ内戦 大統領が勝利宣言 コロンボで祝砲も (www.asahi.com 2009年5月19日13時39分)
 
 スリランカのラジャパクサ大統領は19日午前(日本時間同日午後)、議会で演説し、「全土はテロから解放された」と述べ、反政府武装勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)との間で約25年間続いた内戦の勝利を宣言した。最大都市のコロンボ市内では、祝砲や爆竹の音が鳴り響いている。
 
スリランカ政府軍がLTTE指導者殺害、内戦終結 (www.asahi.com 2009年5月18日21時54分)
 
 スリランカで反政府武装勢力タミル・イーラム解放の虎(LTTE)を率い、政府軍と戦闘を続けてきたプラバカラン議長が18日、同国北部で政府軍に殺害された。国営テレビなどが伝えた。LTTEに対する制圧作戦はこれで完了し、約25年に及んだ内戦が終結した。
 
 かつて国土の約3分の1を支配下に置き、事実上の独立状態にあったLTTEは08年以降、政府軍の攻勢で次々と拠点を失い、北部の狭い地域に20万人近い民間人を「人間の盾」にして立てこもった。
 民間人の巻き添えを懸念する国連などが攻撃の自制を求める中で、政府軍は攻勢を緩めず、17日までに民間人全員を解放したと発表。「敗北宣言」をしたLTTEをさらに追い詰め、最終攻撃を仕掛けていた。
 政府軍などによると18日朝、戦闘地域から走り去ろうとした数台の車を政府軍が銃撃。中から議長の遺体が見つかった。LTTEの陣地からも幹部を含む200以上の遺体が見つかり、政府軍は同日午後に「全土が解放された」と宣言した。
 
 同国では、多数派のシンハラ人への優遇政策に反発した少数派タミル人が70年代から分離独立運動を開始。その中で結成されたLTTEが83年ごろから武力闘争を始め、戦闘やテロによる死者は7万人以上にのぼるとされる。
 

 住民の70%強が仏教徒シンハラ族で、20%がヒンドゥー教徒タミル族、9%がイスラム教徒。65,610平米と、北海道ほどの広さもない国土の中で、多民族間の紛争、宗教紛争が凝縮している。ユニセフアムネスティLTTEにおける少年兵問題を指摘し、国際的な非難が集まっていた。そして内戦終結に要した、25年という年月。
 
 スリランカといえば、個人的にはセイロン茶か世界史的スケールを有する寄港地コロンボくらいのイメージしか持たないが、観光地としてはヒンドゥー仏教寺院やポロンナールワの巨大な涅槃仏像、オランダ統治時代の城壁など、長い時を隔てて鬩ぎ合う異文化の遺跡群がキメラのように点在しているという――。