ミクロの決死隊

ナノカプセルで抗がん剤膵臓がんに効果 マウスで確認 (www.asahi.com 2013年06月25日16時21分)
 
 膵臓がんを発症したマウスにごく微小なカプセルに閉じ込めた抗がん剤を使うと、生存率が大幅に向上することが東京大などの研究でわかった。同カプセルは人への臨床試験も進行中で、治療の難しい膵臓がんの効果的治療につながると期待される。
 
 抗がん剤は、がん細胞に届く前に多くが体外に排出されてしまううえ、がん以外も攻撃する副作用がある。だがカプセルに閉じ込めると、がんを集中的に狙い撃ちできる。
 
 東大の片岡一則教授らはこの技術を応用。今週の米科学アカデミー紀要に発表する論文によると、直径30ナノ(ナノは10億分の1)メートルほどのカプセルに抗がん剤を入れ、膵臓がんを自然に発症する遺伝子改変マウスに点滴した。
 
 点滴開始から100日(人の10年に相当)で、従来の薬を使ったマウスで20%以下の生存率が、ナノカプセルのマウスでは80%に向上。他の臓器への転移や腹水の発症を抑える効果も高く、腫瘍(しゅよう)マーカーの値も下がっていた。
 
 人では膵臓がんの5年生存率は10〜20%程度とされ、早期発見も治療も難しい。米アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏も膵臓がんで亡くなった。